5年前の私は、決して運動が好きというわけではなく、特に筋力トレーニングは嫌いでした。
太っていたわけでもなかったので、自分の健康を真剣に心配することはめったにありませんでした。しかし、あるときの健康診断で検査数値にいくつかの異常が見つかり、それをきっかけに運動を始めることにしました。
選んだのはランニングでした。最初は1キロ走るのすらひと苦労でした。それが、1キロを8分切るペースで走れるようになり、少しずつより遠くへ、より速く走れるようになっていきました。
その取り組みはおよそ1年半続きました。途中で諦めそうになったことも何度もありましたし、途切れてはまたやり直すことの繰り返しでした。本当の転機が訪れたのは、15キロを走った後のことです。それほど強い疲労感を感じていない自分に気づいたのです。その頃からランニングそのものの楽しさを実感できるようになりました。
その後、人生で初めてのハーフマラソンに挑戦し、1時間35分で完走しました。ランニングが習慣になるにつれて、健康診断で引っかかっていた数値も、ひとつ、またひとつと正常に戻っていきました。
けれども、ランニングでは長年抱えていた首や肩の違和感までは解消されず、時にはかえって違和感が目立つことすらありました。スタンディングデスクも試してみましたが、大きな効果はありませんでした。その後、ネットで背部のトレーニングに関する情報を見つけ、背中の筋力を高めることが首や肩の不調の改善に役立つかもしれないと知り、筋力トレーニングに取り組み始めました。
私が筋肉というものに初めて真剣に向き合った瞬間でした。それまでは、筋肉を鍛えるのは主に見た目のためだと思っていました。しかし、筋肉は私たちがどのように立ち、動き、日々の生活を送るかにも深く関わっているのだと、後になってようやく理解できるようになりました。
私が筋力トレーニングに触れたのは、背中を鍛えることからでした。後にプロダクトの名前をつける際、私たちはラテン語の dorsum / dorsi を思い浮かべました。これは「背部」に関係のある言葉です。Dorsi という名前には、こうしてあの体験の原点が残されています。
学びと実践を重ねる中で、私は自分が役に立つと感じた方法を、オフィスで同じような悩みを抱える同僚たちにも共有し始めました。私たちは時折、自嘲気味に「同じ不調を抱える仲間」と呼び合っていました。彼らの多くはその方法に納得し、試してみようとしてくれましたが、1〜2回取り組んだ後、やはり諦めてしまう人が多くいました。
次第に分かってきたのは、彼らが身体を良くしたくないわけではないということでした。問題は、筋力トレーニングを始めるためにしなければならない決定が多すぎることだったのです。
どの種目をやるべきか? 週に何回おこなうか? 1回につき何セットやるか? どうすれば正しくできていると言えるのか? より効率的な方法はないのか? 今日はとても疲れていて気乗りしないけれど、計画がまだ終わっていない場合はどうすればいいのか?
身体を良くしたいという目標はあるのに、そのためにはまず多くの専門知識を理解しなければなりませんでした。また、固定された計画では日常のさまざまな変化に対応するのが困難です。一度トレーニングをスキップしてしまうと、計画を守れなかった心理的負担がトレーニングそのものよりも重くなることすらあり、最後にはもう続けなくなってしまうのです。
このことで私は気づかされました。多くの人に足りていないのは、より多くのトレーニング内容ではなく、決断を減らし、変化にも柔軟に対応できる計画なのかもしれない、と。
Dorsi という名前は、英語の dose(すなわち「用量」)も連想させます。私たちが深く共感している概念に、MED、Minimum Effective Dose(最小有効用量)というものがあります。
これは、トレーニング量が少なければ少ないほど良いという意味でもなければ、近道を探すことでもありません。一人ひとりの時間、エネルギー、そして現実的な条件には限りがあることを思い出させてくれる概念です。トレーニングとは、本人の目標とその時の状態に合わせて、合理的で効果的、かつ継続可能な用量を見出すべきものなのです。
この用量は人によって異なり、生活の変化に伴って変わっていくものでもあります。今日まとまった1時間がある場合と、出張先で10分しか取れない場合とでは、必要な組み立ては同じにはなりません。体調が良い日と、疲れ切った1日を過ごした直後とで、まったく同じ計画を適用すべきでもありません。
これこそが、私たちが Dorsi にやってほしいと願っていることです。
やるべきことは、自分の目標、現在の状態、使える器具、そして今日割くことのできる時間を伝えることだけです。状況が変わったときも、ただ直接伝えるだけでかまいません。Dorsi はそれに基づいてトレーニングを調整します。現実が当初の計画通りに進まなかったからといって、計画全体を機能不全にしてしまうことはありません。
Training that adapts to real life.
かつて、真にパーソナライズされたトレーニングには、トレーナーが個人の状況を継続的に把握し調整をおこなうことが通常必要でした。一方で、多くのデジタル系トレーニングプロダクトが提供しているのは、今なお比較的固定されたコースやテンプレートにとどまっています。AI の進化は、新たな可能性をもたらしました。日常の言葉で語られた個人の状況をシステムが理解し、目標、時間、器具、コンディションに応じてトレーニングを再構築できるようになったのです。
AI は運動科学に代わるものではありません。私たちが望んでいるのは、既存のトレーニング知識を、誰もがその日に実際に実行できる計画へと変換するために AI を活用することです。
私にはテクノロジーとビジネス分野での実務経験があり、共同創業者は長年にわたりビッグデータと AI に携わってきました。私たちは二人とも運動が好きで、テクノロジーによってトレーニングをよりシンプルにできると信じています。そうして、私たちは Dorsi の開発を始めました。
現在、Dorsi はレジスタンストレーニングと筋力トレーニングに特化しています。ここを出発点として選んだのは、それが他の運動の代わりになるからではなく、多くの人にとってまだ馴染みが薄く、始めるときに多くの選択に直面しやすいからです。
スタートアップチームとして、私たちはまず一つの具体的な課題から始め、それを丁寧にやり遂げる必要があります。将来的には、Dorsi の範囲を有酸素運動、栄養、睡眠へと少しずつ広げ、人々が自身の健康をより包括的にケアできるよう手助けしたいと考えています。ですが今はまず、筋力トレーニングを真に一人ひとりの生活に適応させることに集中していきます。
毎日の生活がトレーニングのためにいつでもまとまった時間を残してくれるわけではありませんし、人が常に最高のコンディションでいられるわけでもありません。すべての準備が整うまで待つ必要はありませんし、完璧にこなせないからといって、今日の取り組みが無意味だと感じる必要もないのです。
Give what you can — Dorsi makes it count.
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